ALGS Championship Year5の構造を把握しよう ダブルエリミネーション編
2026年1月10日 09:00
チケット発売も開始し、あと1週間ほどに迫った札幌でのALGS Championship。
また、昨年に行われた札幌への参加権の最後の枠を争うLCQもまだ記憶に新しい。
この2つの共通点は、「ダブルエリミネーション方式」であることだ。
Championshipでのダブルエリミネーション方式の詳しいルールについてはこのサイトの「Rule」ページを参照していただきたいが、簡潔にまとめると「全体の半分より下の成績を2回取ったらアウト」の形式だ。
今回はこの大会形式の構造把握と題して、形式の特徴を整理し、どのような傾向がみられるのかをデータの側面から探っていきたい。
Winners:勝者のメリット
Championshipでは、Group Stageが終了した際に、上位20チームと下位20チームに分けられる。
上位20チーム、Winnersのチームが得られるメリットを改めて整理してみよう。
・一度11位以下を取ってもEliminateされない
Winnersで半分以下の成績、つまり11位以下を取っても即敗退とはならず、Losersからの上位10チームとのLoser2に進むことができる。この保険があるために、心理的にも背負わず戦えるメリットもあるだろう。
・Bracket Stageは1日で行うため、Final直通の場合は6試合で終了できる
Losersの場合はFinalに進出するまでに合計12試合を戦わなければならないが、Winners内で10位以上となれば6試合でFinalが確定する。Bracket StageはFinalの前日に行われるため、次の日に向けての身体・精神両面での消耗も避けることができる。
ただし、敗退しLoser2に回った際にはスケジュール上のデメリットがある。Bracket StageのスケジュールはLoser1⇒Winners⇒Loser2となっているため、WinnersからLoser2に進んだ際には12試合かつ短めのインターバルで連戦しなければならない。
片やLosers1からの進出チームは、Winnersが行われている間のインターバルがあるためそれほどスケジュールはタイトにならない。
また、あまり考えたくはないが、テックイシュー等でスケジュールが遅れるとLoser2の終了が夜遅くなる場合も十分に考えられる。Loser2に回ることで、Winnersからの進出に比べ翌日のコンディションに影響が出るリスクがある。
・6000$以上の賞金が確定している
ゲーム内容とは直接関係がないが、今大会では30位以上から賞金が付与される。
Winners進出時点で30位以上は確定するため、賞金獲得も同じく確定する。札幌の会場ではチームごとの物販棟も行われる予定だが、すべてのチームが行えるわけではない。特に、企業所属ではないチームには賞金は重要な収入源になる。
また、以前ではWinnersで上位10チームとなりFinalに進出すると、初めからポイントが貰える/POIドラフトの順序が上位になるなどのメリットがあった。
しかし、ポイント配布は廃止になり、POIドラフト順もGroup StageとWinnersのポイントを合算して決めることとなったため、現在ではメリットがあまりない状態となっている。
(※逆に言えば、POIドラフトに関してはGroup Stageでポイントを獲得する重要性が上がっている。Winnersの6試合でそれほど成績が振るわずとも、Group Stageの18試合で上位の成績を残していれば、POIドラフトの順位を大きく落とさずに済む。つまり、Finalまではポイントは伸ばせるだけ伸ばしたほうが良い。)
データの側面で言えば、過去WinnersになったチームのFinal進出率は15~16/20である。上位10チームがFinalに行けるのは言うまでもなく、Loser2に回った場合でも10チーム中半分ほどはWinnersのチームが来るということだ。Loser2に関しての分析は後述の章を参照していただきたい。
Losers1:Finalまでの遠い道のり
Group Stageで下位20チームとなってしまうデメリットは、そのままWinnersのメリットの裏返しとなる。
Finalに進出するためには、Loser1の6試合、Loser2の6試合で上位とならなければならない。Winnersの最短6試合と比べて、長い道のりとなる。
実際に各Championship(オフラインのみ)でLosers1に回りながらもFinal進出を果たしたのは、各大会4~5チームほどとなっている。20チームからLoser1で半分、Loser2でさらに半分になると考えれば妥当な数字ではあるため、ことさらに悲観する必要はないが、5/20と考えると厳しい世界と言えるだろう。
ここからはLoser1、Loser2を経てFinalに進出したチームの、Group Stageでの順位とFinalでの順位を見ていく。

上の表を見ると、Finalでの順位はGnaske,SirDel,RambeauらGMT(2022)が取った5位が最高で、世界トップレベルのIGLだったSweetdreamsがFuhhnq,Sikezzの高火力2名を率いていたLG(2025)が7位で続いている。
ただ高順位もちらほら見えるが、多くは下位で苦戦しており10位以下が目立つ。Finalでの平均順位は13.2となっており、厳しい戦いを経てFinalの切符を掴んでも、その大舞台でもさらに厳しい戦いを強いられているようだ。
Group Stageでの順位に目を向けると、多くは20位台、即ちLosersの中での上位チームが多いようだ。ただE36(2023)などは39位(下から2番目)からのFinal進出を果たしているし、先ほど取り上げたLG(2025)も35位からFinalでは7位の下剋上を達成している。
Group Stageの結果が良ければFinalも……というような傾向はみられないようで、Bracket Stageでいかに修正するかにかかっているかもしれない。
ただしここでもPOIドラフトが懸念点になってくる。
先ほどWinnersの変更点でも述べたように、Losers1,2も同じくGroup Stageでのポイントが大きくドラフト順に関わってくる。(サイト内のルールで解説あったらリンク)
そのため、30位台からの下剋上は以前よりますます厳しくなるのが今大会の仕組みだ。Winnersの章でも触れたが、Group Stageの重要性が以前のフォーマットより高まっている。この点は念頭に置いておきたい。
Losers2:逃せば終わりの最終電車
負けたら終わりの一発勝負のLoser1を勝ち抜いた10チームと、Winnersの下位10チームがFinalの10枠を懸けて対戦する。ここではWinnersからLoser2へと回り、Final進出したチームに注目してみる。

最高順位は100T(2022)と王者FLCN(2025)の3位で、その後も4,5,6位と続く。上を見ると先ほどのLoser1上がりの成績よりよく見えるが、一方で10位以下も多い。Finalでの平均順位は10.3、半分よりわずかに下となっている。
ただ個々のチームを見れば先ほど挙げたFLCN以外にも、ESA時代にはNAを席巻していたOG(2022)や、世界トップレベルのMNKであるnafenがいた頃のNRG(2023)、そしてこのコラムを読んでいる皆様には説明不要であろうFNC(2022,2025)など、優勝候補とも呼べるチームが少なからず存在している。
これこそダブルエリミネーション方式の妙である、「一度だけ負けが許される」ことによる"競技制の担保"だと筆者は認識する。
バトロワとは運の要素も大きく、理不尽なものであることはプレイヤー皆が嫌というほど体験しているだろう。遠い安置、スナイパーのヘッドショット、物資の枯渇……
それらはe-Sportsとなっても変わらずチームに襲い掛かってくる。その理不尽こそがバトロワの醍醐味ともいえるが、強いチームが運だけで負けるのを観客が見たいわけでもない。
そこでバトロワらしい味を入れつつも、ある程度の競技性を保つための形式がこのダブルエリミネーション方式なのだと推察する。理不尽のふるいを掛けつつも、ライフを2つにすることによって強いチームが勝ち上れるようにしているのだ。総当たりを繰り返すより時間的メリットもあり、ダブルエリミネーション方式はe-Sportsで特に採用されている形式である。
おわりに
今回は「ダブルエリミネーション」という部分に焦点を当て、過去のChampionshipを振り返った。今回のChampionshipを観戦するうえでの一助となれば幸いである。
また、当サイトではChampionshipのみならず、他のALGSのフォーマットも詳しく/わかりやすく紹介しているので、ぜひ見ていただきたい。
それでは、次回のコラムでお会いしましょう。
文責:AKIBOX
